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Tree-of-Thoughts(思考の木)をわかりやすく解説|プロンプト例あり

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Tree-of-Thoughtsって何?
どう活用するのか知りたい!

この記事を読むことで、上記のような疑問が解決します。

Tree-of-Thoughts」(思考の木)は生成AI言語モデル(ChatGPTなど)の出力結果を改善する手法の一つです。

こんにちは、シントビ管理人のアキラです。

今回紹介するTree-of-Thoughtsを学ぶことで、ChatGPTなどの生成AI言語モデルをさらに有効活用できるでしょう

今回も文系目線でわかりやすく解説していきます。

それではTree-of-Thoughtsについて、一緒に学んでいきましょう。

※この記事ではイメージしやすくするために、「生成AI言語モデル」を代表ツールの「ChatGPT」と表記します。他の生成AI言語モデルでも活用できる手法です。

Tree-of-Thoughtsとは?Chain-of-Thoughtとの違い

tree-of-thoughtsとは?

Tree-of-Thoughts(思考の木)」(以下ToT)とは、複雑な問題を解決するために、思考の道筋を木構造のように展開していくプロンプトエンジニアリングの手法の一つです。

問題解決の各ステップで異なる選択肢やアプローチを枝分かれさせ、その中から最も効果的な解決策を見つけ出します。

これは、「Chain of Thought(思考の連鎖)」が直線的な思考の流れに基づいているのに対し、複数の選択肢を並行して考え、柔軟な問題解決を可能にする点が特徴です。

Tree-of-ThoughtsとChain-of-Thoughtの違い

具体的には、以下のようなステップを踏みます。

  1. 思考スタート:問題の最初のステップ(根)で考えられるいくつかのアプローチを検討し、それぞれが枝分かれの起点となります。
  2. 各ステップで枝分かれ:各選択肢を進めると、次のステップで新しい選択肢や方法が現れ、それがまた枝分かれとして展開されます。これにより、複数の思考パスが同時進行で検討されることになります。
  3. 多様なパスを検証:各パスは、問題解決の異なる方法やアプローチを表しており、複数の分岐が一つの解決に向かって進んでいく木構造となります。このとき、思考の広がりが増すことで、複雑な問題へのアプローチが多角的になります。
  4. 最適な解決策を選択:最終的に、これらの分岐の中から最も有効な思考パスを選び出し、問題の解決に至ります。これは、様々な可能性を同時に検討した上で最も良い結果を導くというイメージです。

このToTを活用することで、ChatGPTの精度を高めることが可能です。

なおChain-of-Thoughtについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

Tree-of-Thoughtsの実例解説

tree-of-thoughtsの実例解説

今回、複雑な問題の処理精度がイマイチな「ChatGPT4mini」を使用します。

通常のプロンプト

以下の文章を読んで、質問に回答してください。

太郎はりんごを持っています。
太郎はりんごをビニール袋に入れました。太郎はそのビニール袋をかばんに入れました。
太郎は次郎に会い、かばんを渡しました。
次郎は三郎に会い、麻の袋を渡しました。
今りんごを持っているのは誰ですか?

ChatGPT4miniの回答

今、りんごを持っているのは三郎です。

以下の手順で整理すると分かりやすいです:

  1. 太郎がりんごをビニール袋に入れ、それをかばんに入れました。
  2. 太郎がかばんを次郎に渡しました。
  3. 次郎が三郎に麻の袋を渡しました。

この段階で、りんごはビニール袋に入っており、そのビニール袋はかばんに入っていたので、りんごは麻の袋の中に移されたことになります。したがって、りんごを持っているのは三郎です。

この答えは誤りです。

りんごが入っているのはビニール袋で、ビニール袋入のかばんは次郎が持っています。このように人間であれば少し考えればわかるような問題も、生成AI誤ってしまうことがあります。

ちなみにChatGPT4は正しく回答できました。

次に同じChatGPT4miniに対して、ToTを用いてプロンプトを調整します。

ToTのプロンプト

## 指示

3人の異なる専門家が問題に回答します。
専門家全員が問題の回答を提示し、自身の思考プロセスを他の人に説明します。
他の人の思考プロセスを聞いて、自分の答えが誤っていると思った方は退出してください。
最後の一人になるまで繰り返してください。

## 問題

太郎はりんごを持っています。
太郎はりんごをビニール袋に入れました。太郎はそのビニール袋をかばんに入れました。
太郎は次郎に会い、かばんを渡しました。
次郎は三郎に会い、麻の袋を渡しました。
今りんごを持っているのは誰ですか?

ChatGPT4miniの回答

この問題に対する回答とその思考プロセスを専門家が3人提供する形式で進めます。

専門家Aの回答

回答: 今、りんごを持っているのは三郎です。

思考プロセス:

  1. 太郎がりんごをビニール袋に入れる – この時点で、りんごはビニール袋の中に入っています。
  2. ビニール袋をかばんに入れる – りんごはかばんの中にあります。
  3. 太郎がかばんを次郎に渡す – この時点で、りんごは次郎の手に渡ったかばんの中にあります。
  4. 次郎が麻の袋を渡す – この時点で、次郎が持っているのは麻の袋です。麻の袋は次郎が持っていたかばんの中にあり、りんごはその麻の袋に移動していると考えられます。
  5. 今、りんごは麻の袋の中に入っているので、りんごを持っているのは三郎です。

専門家Bの回答

回答: 今、りんごを持っているのは次郎です。

思考プロセス:

  1. 太郎がりんごをビニール袋に入れる – りんごはビニール袋の中にあります。
  2. ビニール袋をかばんに入れる – りんごはかばんの中にあります。
  3. 太郎がかばんを次郎に渡す – りんごは次郎が受け取ったかばんの中にあります。
  4. 次郎が麻の袋を渡す – この時点で麻の袋を渡していますが、かばんの中のビニール袋ごと渡したとは記載されていないため、りんごは次郎が持っているかばんの中に留まっています。

専門家Cの回答

回答: 今、りんごを持っているのは次郎です。

思考プロセス:

  1. 太郎がりんごをビニール袋に入れ、ビニール袋をかばんに入れる – りんごはかばんの中のビニール袋に入っています。
  2. 太郎がかばんを次郎に渡す – かばんの中にあるりんごも一緒に次郎に渡ります。
  3. 次郎が麻の袋を渡す – 麻の袋が渡された時点で、次郎が持っているのは麻の袋ですが、ビニール袋に入ったりんごがかばんの中に残っていると考えられます。

考察: 専門家Aが述べたように、麻の袋にりんごが移動した可能性もありますが、問題文に「麻の袋がりんごを持っている」とは記載されていません。次郎が麻の袋を渡した時点でも、ビニール袋に入ったりんごが次郎の手に残っていると考えられるため、次郎がりんごを持っていると結論できます。

結論

専門家Bと専門家Cの意見が一致しているため、最終的な回答は「りんごを持っているのは次郎」です。

回答は正解です。

残念ながら単純な多数決になってしまい、指示した通りに議論はしてくれませんでした。しかし、有用性は感じていただけたでしょう。

なお、何度か繰り返すと、正解の時もあれば、不正解の時もあります。そのため万能な方法ではないということを念頭においた方がいいでしょう。

Tree-of-Thoughtsの実践活用例

tree-of-thoughtsの実践活用例

ToTの手法を用いることで、ChatGPTの推論能力を高められることがわかりました。今度はこのToTを実践で活用していきましょう。

ToTのプロンプト

問題:企業が新しい製品を市場に導入するための最適なマーケティング戦略を考案する。

  1. 最初に考えられるアプローチをいくつか挙げ、それぞれのメリットとデメリットを説明してください。
  2. それぞれのアプローチの次のステップを具体的に述べてください。
  3. 複数の選択肢の中から最も効果的と思われるものを選び、その理由を述べてください。
ChatGPTの回答

企業が新しい製品を市場に導入する際に検討すべきいくつかのマーケティング戦略を以下に挙げ、それぞれのメリット、デメリット、次のステップを解説します。

1. ソーシャルメディアキャンペーン

メリット:

  • 広範囲の顧客に迅速にリーチ可能。
  • エンゲージメントが高く、ユーザー生成コンテンツを通じてブランド認知が拡散しやすい。
  • コスト効率が良く、ターゲットを絞った広告が可能。

デメリット:

  • 競合他社のノイズに埋もれやすく、目立つコンテンツを作る必要がある。
  • 誤ったメッセージが拡散するリスクがある。

次のステップ:

  • ターゲット顧客を定義し、適切なプラットフォーム(Instagram, Facebook, Twitter等)を選定。
  • インフルエンサーや顧客が参加できるキャンペーンを企画し、ハッシュタグを使ったキャンペーンを展開。
  • 定期的な投稿と広告で製品の特長をアピールし、顧客とのコミュニケーションを図る。

2. インフルエンサーマーケティング

メリット:

  • 高い信頼性と影響力を持つインフルエンサーを通じて、ターゲット顧客に信頼される形で製品を紹介。
  • ターゲット層が狭く、効率的なマーケティングが可能。

デメリット:

  • 高額なコストがかかることがある。
  • インフルエンサーとのブランドフィットが悪いと、効果が薄れる可能性がある。

次のステップ:

  • 製品とターゲットに合ったインフルエンサーの選定。
  • キャンペーン内容の策定と契約交渉。
  • インフルエンサーによるレビュー、動画、写真などのコンテンツ作成と共有。

3. 従来型の広告(テレビ、ラジオ、プリント)

メリット:

  • 広範な顧客層にリーチ可能。
  • 信頼性が高いと見なされる媒体での広告により、ブランドイメージの向上。

デメリット:

  • 高コスト。
  • 若年層へのリーチが限定的である可能性がある。

次のステップ:

  • メディアプランの作成と、最適な広告スロットの選定。
  • クリエイティブな広告素材の制作。
  • キャンペーンの効果測定と調整。

最も効果的なアプローチの選定

これらの戦略から、ソーシャルメディアキャンペーンが最も効果的であると考えられます。その理由は以下の通りです。

  • 低コストで高リーチ:少ない予算で多くの顧客にリーチできるため、特にスタートアップや予算の限られた企業に適しています。
  • エンゲージメントの高さ:顧客と直接的にコミュニケーションを取ることができ、リアルタイムでのフィードバックを受け取りやすい。
  • データ駆動型のアプローチ:広告効果を詳細に測定し、最適化が容易です。

これにより、製品の認知度を効果的に高めつつ、市場の反応を迅速に得ることができます。

いかがでしょうか。単純にマーケティング案を比較したり、深堀りしたりするだけでなく、その両方を同時に行うのがToTです。こうすることで、より深い洞察を得られるでしょう。

今回は抽象的な質問をしましたが、自身の仕事などでより具体的な質問をToTですると、非常に有益な情報が得られると思います。

ToTを誘発させるのに、定まったプロンプトがあるわけではありません。以下の点などを意識すると良いでしょう。

  • 複数人で議論をさせる
  • 思考を枝分かれされる(様々な案を提案させる)
  • より良い選択肢を選ばせる

Tree-of-Thoughtsを活用して、ChatGPTの力を引き出そう!

この記事では、プロンプトエンジニアリングの手法、Tree-of-Thoughts(思考の木)について解説しました。

このToTを活用することで、マーケティング戦略の立案や、商品企画などがより捗ることでしょう。また旅行の計画などの趣味にも活用できます。ぜひ試してみてください。

仕事に活かすためにプロンプトエンジニアリングを身に付けたい方には、スクール活用が効果的です。

中にはリスキリング補助金で格安で受講できるスクールもあります。以下の記事を参考にしてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!