プロンプトエンジニアリング PR

生成AIによるMAGIシステムをわかりやすく解説|プロンプト例あり

MAGIシステム
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

MAGIシステムって何?
どう活用するのか知りたい!

この記事を読むことで、上記のような疑問が解決します。

MAGIシステム」(マギシステム)はアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」に出てくるスーパーコンピューターをモチーフにした、生成AI言語モデル(ChatGPTなど)の出力結果を改善する手法の一つです。

こんにちは、シントビ管理人のアキラです。

今回紹介するMAGIシステムを学ぶことで、ChatGPTなどの生成AI言語モデルをさらに有効活用できるでしょう

今回も文系目線でわかりやすく解説していきます。

それではMAGIシステムについて、一緒に学んでいきましょう。

※この記事ではイメージしやすくするために、「生成AI言語モデル」を代表ツールの「ChatGPT」と表記します。他の生成AI言語モデルでも活用できる手法です。

MAGIシステム(マギシステム)とは?

MAGIシステムとは

MAGIシステムの元ネタは、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」に出てくるスーパーコンピューターです。簡単に説明すると、3つの人格を持つスーパーコンピューターが合議をし、多くの事案を検討、解決します。MAGIシステムは新約聖書に登場する「東方の三博士」に由来します。

アニメの中では、「科学者」「母」「女性」の3つの人格を持ちます。このMAGIシステムを生成AIに応用したのが、深津さんで「エヴァのMAGIシステムをGPT3で作ってみた」という記事は有名です。

MAGIシステムは、以下のステップで活用します。

  1. 「科学者」「母親」「女性」に対して同一の質問をします。
  2. それぞれの回答について議論をさせます。
  3. すべての回答を元に、最適な回答を出力させます。

生成AIは非常に優秀ですが、テーマによっては回答にばらつきが発生します。

三人寄れば文殊の知恵」という言葉があるように、生成AIに3つの人格(視点)を与えて問題を検討することで、より良い結果が得られる可能性が高まります。

MAGIシステムの実例解説

MAGIシステムの実例解説

早速実例を用いて、MAGIシステムを解説します。

以下は通常のプロンプトです。

通常のプロンプト

## 質問

勉強の必要性について教えて。

ChatGPT4o miniの回答

勉強の必要性は多岐にわたりますが、主な理由は以下の通りです。

  1. 知識の習得: 勉強は新しい情報や知識を得る手段です。これにより、さまざまな分野に対する理解が深まります。
  2. スキルの向上: 特定のスキルや能力を向上させるためには、勉強が不可欠です。例えば、プログラミングや外国語などは、学び続けることでより実践的な能力が身につきます。
  3. 問題解決能力の向上: 勉強を通じて、論理的思考や分析力が鍛えられ、複雑な問題を解決する能力が向上します。
  4. キャリアの発展: 学び続けることで、キャリアの選択肢が広がり、昇進や転職において有利になります。
  5. 自己成長: 勉強は自己理解を深めたり、新しい視点を得る機会でもあります。これにより、人生の質が向上します。
  6. 社会的なつながり: 勉強を通じて、同じ興味を持つ人々と出会うことができ、ネットワークを広げることができます。

これらの理由から、勉強は生涯にわたって重要な活動であると言えます。

なんとも面白みのない回答が返ってきました。

それではMAGIシステムに対して、同じ質問を与えてみましょう。このプロンプトのポイントは以下です。

  • 異なる三人の立場から意見を述べてもらう
  • 三人の意見の良いところを集め、最良の回答を導き出す
MAGIシステムのプロンプト

3人が協力して、最良の回答を導きます。
1人目は科学者、2人目は母親、3人目は女性です。
以下のステップで議論をしてください。
1.質問に対してそれぞれの意見を述べてください。
2.他人の意見に対して良かった点を指摘し、自身の意見に誤りがあれば訂正してください。
3.全員の意見をまとめて、結論を出してください。

## 質問

勉強の必要性について教えて。

ChatGPT4o miniの回答

1. 各自の意見を述べる

科学者の意見:
勉強は知識を深めるために不可欠です。科学的な思考力や問題解決能力を育むことで、私たちは新しい発見をし、社会に貢献できます。基礎的な学問の理解は、科学技術の進歩にも重要です。

母親の意見:
勉強は子どもたちの将来に大きな影響を与えます。教育を受けることで、自己肯定感が高まり、様々な選択肢が広がります。また、社会生活で必要なコミュニケーション能力や協力する力も養われると思います。

女性の意見:
勉強は自己成長に繋がります。新しいことを学ぶことで、自分の視野が広がり、自信が持てるようになります。また、キャリアにおいても、知識やスキルが重要で、勉強を続けることでチャンスが増えると感じます。

2. 意見への評価と訂正

科学者への評価:
あなたの意見は、勉強の重要性を科学的な観点からしっかりと示しています。特に、科学技術の進歩への貢献という点は、現代社会において非常に重要です。私の意見も同様に、基礎的な学問が大切だと考えているので、補完し合う部分があります。

母親への評価:
お子さんの将来に対する視点が素晴らしいです。自己肯定感やコミュニケーション能力は、勉強だけでなく、家庭環境や社会経験からも影響されます。私も、勉強の影響は広範囲にわたると思いましたので、あなたの意見に共感します。

女性への評価:
自己成長に焦点を当てた意見は、とても共感できます。特に、キャリアにおける勉強の必要性は多くの人に当てはまります。私も、勉強がもたらす自己肯定感の向上について考えが浅かった部分があるので、あなたの視点を取り入れたいと思います。

3. 結論をまとめる

勉強の必要性は多角的な視点から捉えられるべきです。科学者としての知識の深化や問題解決能力の向上は、社会や科学技術の進歩に寄与します。母親の視点からは、教育が子どもたちの未来や自己肯定感を形成し、コミュニケーション能力の育成にも寄与することが明らかになりました。また、女性としての視点では、勉強が自己成長やキャリアの選択肢を広げる重要な要素であることが強調されました。

これらの意見を総合すると、勉強は個人の成長、社会への貢献、そして未来への可能性を広げるために不可欠であると言えるでしょう。

回答に深みがましたが理解いただけたと思います。ただし、勉強の必要性を列挙するという場合には、最初のプロンプトでも悪くはありません。

つまり、使い所が重要です。

ただし、実践で活用するにはもう少し手を加えた方が良さそうです。次の章で実践で活用できる事例を紹介します。

MAGIシステムの実践活用例

MAGIシステムの実践活用例

お気づきの方も多いと思いますが、本場エヴァンゲリオンのMAGIシステムには、そもそも偏りがあります。これはMAGIシステムを作った赤城リツコの母親、赤城ナオコの3つの側面(科学者・母親・女性)に基づくためです。母親と女性は近しいですからね。

そのため、本家MAGIシステムを模倣しても、すべての問題に対して最良の回答が得られるわけではありません。

ポイントは、テーマに応じて柔軟に役割を変更することです。

具体的な活用例を紹介します。

今回は、「車」を題材にビジネスに関する考察をします。「トップセールマン」「敏腕経営者」「賢い消費者」の視点で、2035年に販売するべき車について議論してもらいましょう。

推論能力を高めるため、ChatGPT4oを使用します。

プロンプト

3人が協力して、最良の回答を導きます。
1人目はトップセールマン、2人目は敏腕経営者、3人目は賢い消費者です。
以下のステップで議論をしてください。
1.質問に対してそれぞれの意見を述べてください。
2.それぞれの意見に対して良かった点を指摘し、自身の意見に誤りがあれば訂正してください。
3.全員の意見をまとめて、結論を出してください。

## 質問

今から約10年後の2035年に販売するべき車を教えてください。

ChatGPT4oの回答

1. それぞれの意見

トップセールスマンの意見

2035年には電気自動車(EV)や自動運転車が主流になると予測されます。消費者が求めるのは、環境に配慮した車両だけでなく、最新のテクノロジーを活用した便利で快適な車です。例えば、完全な自動運転システムやAIによるパーソナライズ機能(例えば、ドライバーの好みに応じたインフォテインメントシステムの設定、自動駐車、充電管理など)が重要な要素となるでしょう。また、バッテリーの持続時間や充電インフラも重要なポイントになるため、これらの問題に対応した車が求められるはずです。

敏腕経営者の意見

2035年には、自動車産業は大きな転換点を迎えていると考えます。サステナビリティ(持続可能性)がさらに重視されることは間違いなく、企業としても環境負荷の低い車両の開発と製造が不可欠です。ゼロエミッション車(EV、燃料電池車)の導入はもちろん、バッテリーのリサイクル技術や車両全体のライフサイクルコスト削減も重要な戦略です。また、車自体の販売だけでなく、サブスクリプションモデルやカーシェアリングなどの新しいビジネスモデルにも対応できる車を開発するべきです。

賢い消費者の意見

2035年には、車は単なる移動手段ではなく、生活の一部としてより統合されていると考えます。例えば、自宅のエネルギーマネジメントシステムと連携し、車が家電製品や家庭全体の電力供給をサポートするような機能が求められるかもしれません。また、自動運転が進化すれば、車内で仕事やエンターテインメントを楽しむことができる快適な「移動空間」としての価値がさらに高まるでしょう。消費者としては、環境性能に優れ、充電や保守が容易で、日常生活の中でシームレスに使える車を選びたいです。

2. 各意見の良かった点と訂正

トップセールスマンの意見に対するフィードバック

良い点: 消費者が求める最新技術や自動運転、充電インフラの重要性を指摘している点が素晴らしい。販売の視点から、顧客のニーズを的確に捉えている。
訂正点: 技術面に特化しているが、消費者のライフスタイルや経済的な視点を取り入れるとより説得力が増す。例えば、バッテリーの寿命やランニングコストなどの具体的な情報も付加すると良い。

敏腕経営者の意見に対するフィードバック

良い点: 企業戦略としてのサステナビリティや新しいビジネスモデルを考慮している点が素晴らしい。車両開発にとどまらず、ビジネス全体の視点で考えていることが明確である。
訂正点: 自動車産業全体の動向を捉えているが、具体的な車両や消費者ニーズについての言及が少ない。もっと具体的な車両の特徴や機能について触れると、より明確なビジョンを描ける。

賢い消費者の意見に対するフィードバック

良い点: 生活との統合や移動空間としての価値を見据えた、非常に先進的な視点。エネルギーマネジメントとの連携や自動運転を考慮した、現実的なライフスタイル提案が優れている。
訂正点: 生活への統合を強調しているが、そのための技術やコストについての言及が不足している。実現可能性についても考慮し、どのような条件でこれが可能になるのかを示すと説得力が増す。

3. 結論

2035年に販売すべき車は、以下のような特長を持つことが望ましいです。

  1. サステナビリティと環境性能: 環境負荷を最小限に抑えたゼロエミッション車(EVや燃料電池車)の採用。バッテリーのリサイクル技術や全体のライフサイクルコストを考慮した車両設計。
  2. 高度なテクノロジー: 完全自動運転システムやAIによるパーソナライズ機能を搭載し、消費者の生活や好みに応じたサービスを提供。インフォテインメントシステムや安全技術の充実。
  3. 新しいビジネスモデル: サブスクリプションモデルやカーシェアリング、車両のエネルギーマネジメントシステムとの連携など、所有ではなく利用を前提としたビジネスモデルに対応できる車。
  4. 消費者のライフスタイルとの統合: 車が単なる移動手段ではなく、生活の一部として機能すること。例えば、家庭の電力供給をサポートしたり、車内で快適に仕事やエンターテインメントを楽しめる空間を提供。

これらを総合すると、2035年の車は「環境性能に優れ、テクノロジーを駆使し、消費者のライフスタイルに寄り添い、新しいビジネスモデルに適応できる車」となるべきです。企業としては、単なる車両販売にとどまらず、サステナビリティや新しいライフスタイル提案を含む価値を提供することが求められます。

今回はかなり抽象的なテーマを投げかけましたが、各視点からの良い考察が得られたのではないでしょうか。

質問に詳細情報を提供することで、より具体的で有益な考察が得られます。アイディアの壁打ちにもピッタリでしょう。

先ほど提示したポイントに補足をします。

  • 異なる三人の立場から意見を述べてもらう
  • 三人の意見の良いところを集め、最良の回答を導き出す
  • テーマに応じて、意見を求める三人には最適な人物像を選ぶ

先ほどの例のようなビジネスの場面では、「トップセールマン」「敏腕経営者」「賢い消費者」など、立場が異なり、また有益な情報が得られそうな人を選びます。他にも「エンジニア」「マーケター」「財務責任者」なども良いと思います。

意見を出してもらう際に偏り過ぎないように、立場の異なる人格を選ぶように注意しましょう。ただし、全く関係ない人格を選ぶとノイズが混ざります。

MAGIシステムを活用して、ChatGPTの力を引き出そう!

この記事では、プロンプトエンジニアリングの手法、MAGIシステムについて解説しました。

この手法は、方向性を決める時やアイディアを出したい時など、多角的な意見がほしい時に有効です。ぜひ活用してみてください。

仕事に活かすためにプロンプトエンジニアリングを身に付けたい方には、スクール活用が効果的です。

中にはリスキリング補助金で格安で受講できるスクールもあります。以下の記事を参考にしてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!