生成AIを使い始めてみたけれど、コピーペの繰り返しで手間が変わらない…
自社のデータに基づいた、もっと実用的なAIツールを自分たちで作りたい

そんな悩みを持つビジネスパーソンの間で急速に注目を集めているのが、生成AIアプリ作成プラットフォーム「Dify(ディフィー)」です。

Difyは、プログラミングの知識がなくても、自社専用のAIアシスタントや複雑な業務フローをノーコードで構築できるツールです。しかし、自由度が高いがゆえに「具体的に何ができるのか?」「自社の業務にどう当てはめればいいのか?」と、最初の一歩で迷ってしまう方も少なくありません。

こんにちは、シントビ管理人のなかむーです。

活用例を知ることで、自分たちの業務にどのように活かせるかのイメージがつきやすくなるでしょう。

今回も文系目線でわかりやすく解説していきます。

この記事を読むことで以下のことがわかります。

単なる事例紹介にとどまらず、どのような「課題」をどう「解決」し、どんな「効果」が得られるのか。さらには、アプリの設計図となる「再現設計」まで踏み込んでご紹介します。

ぜひ自身の業務に置き換えたりして、読み進めてください。Difyの概要について確認したい方は以下の記事も参考にしてください。

なぜ今、業務効率化のツールとしてDifyが注目されているのか?

2024年頃から急速に普及した生成AI。当初は「ChatGPTなどのチャットAIに質問する」という使い方が主流でしたが、2026年現在、企業が求めるAI活用は「単なる対話」から「業務の仕組み化」へとシフトしています。

その中心的な存在として、多くのエンジニアやビジネスパーソンから支持を集めているのが「Dify」です。なぜ、数あるAIツールの中でもDifyがこれほどまでに注目されているのでしょうか。主な理由は3つあります。

1.プログラミング不要で「AIエージェント」が作れる

これまでの業務自動化には、高度なプログラミングスキルが必要でした。しかし、Difyは「ノーコード」でアプリ構築が可能です。 アイコンをつなぎ合わせる視覚的な操作(ワークフロー)だけで、「メールを読み取り、要約し、返信案を作成する」といった一連のプロセスをAIに実行させることができます。

これにより、現場の担当者が自ら業務を自動化できる環境が整いました。

日本でノーコードの業務アプリ作成ツールといえば、「kintone(キントーン)」が有名ですね。そのAI版といったところでしょうか。

2. 自社データに基づいた「賢い回答」が得意

生成AIの課題として、一般的な知識には強いものの、社内のルールや最新情報には答えられない「ハルシネーション(嘘をつく現象)」がありました。 Difyは、PDFやNotionなどの社内ドキュメントを読み込ませる「RAG(検索拡張生成)」という技術を、誰でも簡単に扱えるように設計されています。

「社内のマニュアルに基づいた正確な回答」を生成できる点が、ビジネス利用において大きなアドバンテージとなっています。

RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)は、AIの生成能力と情報検索を組み合わせた技術です。通常の生成AIは学習済みの知識だけで回答しますが、RAGは質問に関連する情報を外部データベースから取り出して回答に活用します。

3. モデルを自由に選び、柔軟に組み合わせられる

Difyは特定のAIモデルに依存しません。例えば、

  • 文章作成が得意な「GPT-5.2」
  • 文脈理解に長けた「Claude 4.5 Sonnet」
  • 軽量・高速でコスパ重視の「Gemini 3 Flash」

これらを、用途に合わせてボタン一つで切り替えたり、あるいは複数のモデルを組み合わせて一つのワークフローを作ったりすることが可能です。常に最新かつ最適なAI技術を、最小限の手間で業務に取り入れられる柔軟さが、Difyが選ばれる決定打となっています。

Difyで実現できること

Difyは、単にAIと会話するだけのツールではありません。最大の特徴は、複数のAIモデルや独自のデータを組み合わせ、「特定の目的を達成するための専用アプリ」を作成できる点にあります。

ここでは簡単に3つの機能にフォーカスして紹介します。

  • ナレッジ活用(RAG)
    PDF、CSV、Notion、Webサイトなどの「ナレッジ(知識)」をAIに学習(参照)させる機能です。これにより、AIが一般的な知識ではなく、「あなたの会社のルール」に基づいて、回答を生成します。
  • ワークフロー自動化
    「Aという作業の後にBを行い、その結果を受けてCを出力する」といった一連の流れを自動化できます。単発の指示(プロンプト)を繰り返す手間が省け、定型業務の工数を劇的に削減できます。
  • マルチモーダル対応
    2026年現在のAIトレンドである、テキスト以外のデータ処理にも柔軟に対応。「文字入力」という手間さえも省き、より直感的な業務効率化が実現します。

その他にも様々な機能・できることがあります。以下の記事を参考にしてください。

単発のAI活用であれば、わざわざDifyを使う必要はありません。しかし、繰り返しAIを活用したい場合、ワークフロー化することで作業効率がぐっと高まります。また、チームで共有できる点も強みですね。

【部門別】Dify活用例6選

Difyの真価は、実際の業務フローに組み込んだ時に発揮されます。ここでは、特に導入効果が高い6つの部門における活用例を紹介します。

カスタマーサポート:問い合わせ自動回答エージェント

現場の課題

製品仕様や配送状況など、マニュアルで解決できる「定型的な質問」が全体の数割を占めていることが多いです。スタッフがこうした反復的な返信に追われることで、クレーム対応や高度な技術相談といった「本来注力すべき業務」にリソースを割けず、チームの疲弊や満足度低下を招いています

Difyによる解決策

過去のFAQやマニュアルを「ナレッジ」として連携させた、高精度な自動回答エージェントを構築します。単なるキーワード検索ではなく、文脈を理解して最適な回答を自動生成。

人間が最終確認するための「返信下書き」を即座に作成することで、品質を維持したまま対応スピードを劇的に向上させます。

導入後の効果

一次回答が迅速化され、顧客の待ち時間が大幅に短縮されます。スタッフはAIが作成したドラフトをチェックするだけで済むため、作業工数と精神的負担がともに軽減。結果として、人間にしかできない「感情的なケア」や「複雑な問題解決」に集中できる環境が整います。

カスタマーサポートはDifyの強みを活かしやすい領域の一つです。Difyはチャットボットにも応用できるので、顧客向けチャットボットにも活用できます。
少し専門的ですが、既存のWebアプリにAPIでDifyを組み込むことも可能です。

営業・企画:競合・市場リサーチ自動化

現場の課題

質の高い提案にはリサーチが不可欠ですが、日々の業務の中で複数サイトやIR情報を巡回し、情報を整理するのは大きな負担です。結果として、調査不足のまま商談に臨んだり、資料作成のために深夜まで残業が発生したりするなど、生産性と提案の質の維持が課題となっています。

Difyによる解決策

Web検索ツールと連携した「自動調査エージェント」を構築します。企業名やキーワードを入力するだけで、AIが最新ニュースやプレスリリースをリアルタイムで収集。それらを「強み・弱み・脅威」などの項目別に自動で要約・整理するため、人間はゼロから調べる手間なく、分析から着手できます。

導入後の効果

情報収集が自動化され、浮いた時間を「顧客への戦略立案」に充てられるようになります。常に鮮度の高い情報を反映した提案が可能になるため、成約率の向上に寄与します。また、個人のリサーチスキルに依存せず、チーム全体で高品質な調査結果を共有できる点も大きなメリットです。

新規営業向けには、「業界別」「部署別」に想定課題を出させるのも有効です。
また、自社の商品・サービス情報などを学習させておき、どういう切り口で提案するのが良いか、という案出しをさせるのも効果的でしょう。

マーケティング:SNS・ブログ量産ワークフロー

現場の課題

1つの情報をブログ、X、Instagramなど各媒体に合わせて最適化し、発信し続けるには膨大な工数がかかります。媒体ごとに異なる文字数やトーンへの書き換えが手作業で行われているため、発信頻度が落ちたり、全媒体が同じ内容のコピー&ペーストになったりする課題を抱えています。

Difyによる解決策

1つの素材から、各媒体に最適化された投稿案を一括生成する「コンテンツ変換エンジン」を構築します。各SNSの成功パターンやブランドルールを学習させることで、AIがブログ用の詳細解説からX用のキャッチーな短文までを自動で作成。媒体ごとの「書き分け」を瞬時に完了させます

導入後の効果

制作工数が劇的に削減され、担当者は企画立案やフォロワーとの交流など、よりクリエイティブな業務に時間を割けるようになります。一貫したメッセージを保ちつつ、各SNSに最適化された高頻度な発信が可能になるため、認知拡大とファン形成が加速します。

現代社会において、発信力はとても重要です。しかし、リソースのない中小企業ではSNS運用、メディア運営に手が回っていないことも多くあるでしょう。
Difyを活用することで、工数削減を行えば、少ない人員でもマーケティングが可能になります。(ただし、現時点ではAIだけではマーケティングは完結しません)

人事・総務:入社手続き・採用レジュメの一次対応

現場の課題

入社前後の社員から「提出書類の書き方」や「福利厚生の手続き」など、似通った質問が集中し、担当者の業務が中断されがちです。

また、採用活動においても膨大な数のレジュメを1通ずつ確認し、自社の要件と照らし合わせる作業が大きな負担となっています。

Difyによる解決策

社内規定や採用基準を「ナレッジ」として学習させたアシスタントを構築します。社員からの質問には24時間体制で即答

採用候補者のレジュメを読み込ませれば、スキルの適合度を自動でスコアリングします。これにより、機械的な選別や回答をAIが肩代わりします。

導入後の効果

担当者が窓口業務に追われる時間が減り、組織開発や面談といった「人にしかできないコア業務」に集中できます

また、採用の一次選考が迅速化されることで、優秀な人材へのアプローチスピードが向上し、採用競争力の強化に繋がります

特に大企業になると、社内の問い合わせ対応だけでかなりの時間・労力が取られるでしょう。
AI活用の効果が最も見えやすい領域です。

EC運営:商品紹介文の生成とレビュー分析

現場の課題

多種多様な商品を扱うECサイトでは、個別の商品紹介文を作成するだけで膨大な時間が必要です

また、日々寄せられる顧客レビューも、感情分析や改善点の抽出が追いつかず、貴重な「顧客の声」を商品改良や店舗運営に活かしきれていない課題があります。

Difyによる解決策

商品のスペック情報から、ターゲット層に刺さる紹介文を自動生成するワークフローを構築します。

また、蓄積されたレビューデータを一括で読み込み、ポジティブ・ネガティブの分類や、具体的な不満点の抽出を自動化。運営に必要な情報を可視化します。

導入後の効果

商品登録のスピードが上がり、トレンドを逃さない販売が可能になります。

また、レビュー分析が定常化されることで、商品改善のサイクルが高速化。顧客の不満を早期に解消できるようになり、リピート率の向上やクレームの未然防止に貢献します。

特に越境EC(海外販売)向けに翻訳が必要なる場合、AIの活用は有効です。Google翻訳では単語単位の翻訳となり、誤訳の可能性が出てきますが、AI翻訳は文章単位の翻訳となり、精度がより高まります。
また、海外と日本では訴求の仕方に大きな違いがあります。それらもAIでカバーできます。

開発・IT運用:エラーログ解析とコードレビュー補助

現場の課題

システムでエラーが発生した際、膨大なログの中から原因を特定し、過去の事例と照らし合わせて対策を練る作業には高度な専門性と時間が求められます。また、チーム内でのコードレビューにおいても、基本的な規約チェックに時間を取られ、本質的な設計議論が不足しがちです

Difyによる解決策

過去のトラブル事例やコーディング規約を「ナレッジ」に登録した、開発支援エージェントを構築します。エラーログを流し込むだけで原因の推測と解決策を即座に提示させ、ソースコードをアップすれば、チームの規約に沿った修正案を自動で提案させます。

導入後の効果

障害復旧までの時間が短縮され、システムの安定稼働に寄与します。コードレビューの一次チェックをAIが担うことで、シニアエンジニアの工数が削減され、より重要度の高いアーキテクチャの設計や新機能の開発にリソースを集中できるようになります。

実践!Difyで「動くアプリ」を作るための3ステップ

Difyは、高度なプログラミングスキルがなくても「実用的なアプリ」を構築できるツールです。しかし、闇雲に作り始めると、期待した回答が得られず挫折してしまうことも少なくありません。

まずは以下の3ステップに沿って、スモールスタートで構築してみることをおすすめします。

Step 1:業務を「入力・判断・出力」に分解する

いきなり複雑な仕組みを作ろうとせず、まずは自動化したい業務を整理しましょう。ポイントは、その業務を「入力(材料)」「判断(処理)」「出力(結果)」の3つに分解することです。

  • 入力:
    AIに何を渡すか(例:顧客からのメール、競合のURL)
  • 判断:
    AIに何をさせるか(例:苦情かどうかの判定、300文字での要約)
  • 出力:
    最終的に何が欲しいか(例:返信文のドラフト、Slackへの通知)

このように要素を分解することで、Difyの「どのノード(機能ブロック)」を使えばよいかが明確になります。

Step 2:適切な「モデル」と「ナレッジ」をセットする

次に、アプリの「脳」となるAIモデルと、参考にする「知恵」となるナレッジを設定します。

  • モデルの選択:
    高度な文脈理解や複雑な推論が必要な場合は「Claude 4.5 Sonnet」、文章生成の品質を重視するなら「GPT-5.2」、スピードとコストを優先する軽量用途には「Gemini 3 Flash」など、目的に応じてモデルを使い分けます。
    Difyであれば後から簡単に切り替えられるため、まずは標準的なモデルで試してから最適な構成を調整するのがおすすめです。
  • ナレッジの登録:
    自社独自のルールが必要な場合は、PDFやテキストファイルをアップロードします。これが、AIが「一般的な回答」ではなく「あなたの会社の回答」をするための鍵となります。

当然、Step.0として、「ナレッジの作成」があります。社内のルールや過去のやり取りなどを元に、作成します。この時、ノイズが混ざらないように注意してください。

ただし、ナレッジ作成をゼロから始める場合、それなりの時間と労力を有します。そこで手始めとしては、既に出来ている社内の就業規則などから試してみるといいでしょう。

Step 3:テンプレートを活用して「ワークフロー」を組む

Difyには、世界中のユーザーが作成した「テンプレート」が豊富に用意されています。ゼロから構築するのが不安な場合は、自分の目的に近いテンプレートをコピーし、そこから自分流にカスタマイズしていくのが最短ルートです

アイコン同士を線でつなぎ、処理の順番を調整したら、右側のプレビュー画面ですぐにテストを行いましょう。思い通りの結果が出るまで、プロンプト(指示文)を微調整していけば、あなた専用のAIアプリの完成です。

Dify導入後の世界|業務はどう変わるのか

Difyを実務に組み込むことは、単に「作業が速くなる」以上の価値を組織にもたらします。ツールを使いこなすことで、私たちの働き方がどのようにアップデートされていくのか、3つの視点でご紹介します。

1. 「属人化」から「チーム共有の知見」へ

これまで、特定のベテラン社員だけが持っていた「判断基準」や「回答のノウハウ」は、個人の経験の中に閉じ閉じられがちでした。Difyのナレッジ機能やワークフローを活用することで、その知見をデジタル資産としてチーム全体で共有できるようになります。

「あの人に聞かないとわからない」という状況が減り、新入社員でもAIのサポートを受けながらベテランに近い精度で業務を遂行できる。そんなスキルの平準化が期待できます

部署異動のローテーションが早い組織や、団塊世代の方が多い組織においては、属人化リスクが顕在化しているでしょう。早めにAIに学習させて、対処することが重要です。

2. 「探す・まとめる」作業からの解放

私たちが1日の仕事の中で、意外と多くの時間を費やしているのが「情報の検索」や「資料の要約」です。Difyはこうした付随的な作業を得意としています。

膨大なドキュメントから答えを探したり、会議録を報告書にまとめたりする作業をAIが担うことで、人間は「情報を読み解き、意思決定を下す」という、より上流のプロセスに集中できるようになります。

3. 「人間にしかできない仕事」へのシフト

定型的な業務やデータの処理をAIに任せられるようになると、心と時間にゆとりが生まれます。その余白を、顧客との深いコミュニケーションや、新しい企画の立案、あるいはチームメンバーの育成といった、感情や独創性が求められる領域に充てることが可能になります

AIを競合として捉えるのではなく、「頼もしいパートナー」として共存することで、仕事の質そのものを高めていけるはずです。

AIがどんどん賢くなる時代、「このまま今の仕事だけで大丈夫かな…」と不安を感じますよね

実際、事務・営業・販売の一部業務はAI化が急速に進んでいます。ですが、AIを扱う”ITサイドの仕事”はむしろ不足しています。

そしてIT未経験でも、AIに強い仕事へ”半年で”キャリアチェンジした人が増えていて、今の不安を”強いキャリア”に変えるチャンスです。

新しいキャリアに挑戦したい方は以下の記事も参考にしてください。

詳しく学びたいなら「ゼロからわかるDifyの教科書」がおすすめ!

Difyのさらに詳しく学んだり、実際に使ってみたりしたい場合には、書籍での学習がおすすめです。

中でも「ゼロからわかるDifyの教科書 ~生成AI×ノーコードでかんたん業務効率化」は全ページカラーで非常に見やすく、初心者にもわかりやすい内容になっています。

著者のにゃんた氏は登録者数6万人以上のYouTuber。生成AIやAI関連の情報を発信しているので、こちらもオススメです。YouTubeチャンネルはこちら

生成AIスキルを高めたい方はスクールもおすすめ!

生成AIを使いこなして、「スキルアップしたい」「転職したい」「副業したい」という方は生成AIのスクール受講がオススメです。

実践的な内容が学べたり、転職支援が受けられたりと、独学で学ぶよりも効率的です。興味がある方は以下の記事を参考にしてください。

小さな「自動化」から始めよう

本記事では、Difyの具体的な活用例から構築のステップ、そして導入後の変化についてご紹介しました。

Difyは、これまで「プログラミングが必要で手が届かない」と感じていた業務の仕組み化を、誰にでも手の届くものにしてくれるツールです。しかし、最初から会社全体の巨大なシステムを構築しようと意気込む必要はありません。

まずは、自分自身の「毎日5分だけかかっている面倒な作業」を一つ選んで、Difyで自動化してみることから始めてみてください。メールの下書き作成や、ニュースの要約、資料の一次チェックなど、小さな成功体験を積み重ねることが、組織全体の大きな変革へと繋がっていきます。

AIを賢く使いこなし、人間にしかできない価値ある仕事に集中できる環境を、ぜひDifyとともに築いていきましょう。