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【初心者向け】インコンテキストラーニングをわかりやすく解説|活用例や設計のコツも

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インコンテキストラーニングって何?
インコンテキストラーニングの活用法を知りたい

この記事を読むことで、上記のような疑問が解決します。

インコンテキストラーニング(ICL:In-Context Learning)」は、追加の学習なしでLLMに特定のタスクを実行させるプロンプトエンジニアリングの技術で、その手軽さと効果の高さから重要度を増しています。

こんにちは、シントビ管理人のなかむーです。

今回紹介するインコンテキストラーニングを学ぶことで、ChatGPTなどの生成AI言語モデルをさらに有効活用できるでしょう

今回も文系目線でわかりやすく解説していきます。

本記事では、インコンテキストラーニングの基本から最新動向、そして実務での活用法まで、わかりやすく解説します。

プロンプトエンジニアリングの基礎から知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

インコンテキストラーニングとは?基本を理解しよう

インコンテキストラーニング(ICL:In-Context Learning)とは、大規模言語モデル(LLM)に対して、ファインチューニング(追加学習)を行うことなく、プロンプトの中でいくつかの例を示すことによって、モデルに新しいタスクを学習させ、実行させる手法のことです。

例えば、「この文章を要約して」と指示するだけでなく、「例1:長い文章 → 要約文」「例2:別の長い文章 → 別の要約文」といった具体例をプロンプトに含めることで、LLMは「なるほど、こういう形式で要約すればいいんだな」と理解し、指示されたタスク(この場合は要約)をより精度高く実行できるようになります。

この「例」や「ヒント」の数によって、インコンテキストラーニングは以下のように分類されます。

  • Zero-Shotプロンプト
    ChatGPTに具体的な例を示さずにタスクを実行させる
  • One-Shotプロンプト
    ChatGPTに一つの例を示してからタスクを実行させる
  • Few-Shotプロンプト
    ChatGPTに複数の例を示してからタスクを実行させる方法

インコンテキストラーニングは、このOne-ShotやFew-Shotのアプローチを指すことが一般的です。少ない例示でLLMの挙動を制御できるため、様々なタスクに柔軟かつ迅速に対応できるのが大きな利点です。

実践的な手法としてのZero/One/Few-Shot Leaningについては、以下の記事を参考にしてください。

2025年版インコンテキストラーニングの進化ポイント

インコンテキストラーニングを取り巻く技術は日々進化しています。2025年現在、特に注目すべき進化のポイントを3つ紹介します。

コンテキストウィンドウの拡大

コンテキストウィンドウとは、LLMが一度に処理できる情報量(チャット欄に入力できるテキストの文量)の上限を指します。これが拡大したということは、より多くの例示(Few-Shotの例の数を増やす)や、より長い背景情報、複雑な指示をプロンプトに含められるようになったということです。

初期のLLMでは数千トークン(おおよそ数千文字)程度が限界でしたが、最新のモデルでは数十万〜数百万トークンを扱えるものも登場しています。これにより、長文のドキュメント全体を要約したり、詳細なマニュアルを参照しながら質問に答えたりするなど、インコンテキストラーニングで対応できるタスクの幅が格段に広がりました。

RAGやツール実行とのハイブリッド設計

インコンテキストラーニングは強力ですが、LLMが学習していない最新情報や、社内の非公開情報に基づいて応答を生成することはできません。そこで注目されているのが、RAG(Retrieval-Augmented Generation)ツール実行(Tool Use)との組み合わせです。

  • RAG(Retrieval-Augmented Generation
    検索拡張生成とも呼ばれます。ユーザーの質問に関連する情報を外部データベース(Web検索結果、社内文書など)から検索(Retrieval)し、その情報をプロンプトに組み込んでLLMに応答を生成(Generation)させる技術です。これにより、LLMは最新かつ正確な情報に基づいた回答が可能になります。
  • ツール実行(Tool Use)
    LLMが計算機、データベース検索、API呼び出しなど、外部の「ツール」を必要に応じて呼び出し、その結果を利用して応答を生成する仕組みです。例えば、「今日の東京の天気は?」と聞かれた際に、天気予報APIというツールを使って情報を取得し、回答を生成します。

インコンテキストラーニングで「どのような情報が必要か」「どのツールを使うべきか」といった指示の例を示すことで、RAGやツール実行をより効果的に制御できるようになります。このハイブリッド設計により、LLMは単なるテキスト生成マシンではなく、より高度で実用的なタスクを実行できるエージェントへと進化しています。

マルチモーダル ICL(画像・音声などを含めた例示)

これまでのインコンテキストラーニングは主にテキストデータが対象でしたが、近年は画像や音声を含むマルチモーダルなデータに対応したLLMが登場(ChatGPTやGeminiなど)しています。これにより、インコンテキストラーニングもマルチモーダル化が進んでいます。

例えば、画像とその説明文のペアをいくつか例示として与え、「この画像について説明して」と指示する(画像を入力として与える)といったことが可能になりつつあります。音声についても同様で、音声とその書き起こしテキストの例を示して、新しい音声データを書き起こさせるといった応用が考えられます。

しかし、現状ではマルチモーダルなインコンテキストラーニングには以下のような課題もあります。

  • 精度がまだ高くない
    テキストに比べて、画像や音声の特徴を正確に捉え、例示から意図を汲み取る精度はまだ発展途上です。
  • 対応モデルの限定
    高度なマルチモーダルICLに対応できるLLMはまだ限られています。
  • データ準備の複雑さ
    テキストだけでなく、画像や音声の例示データを適切に準備する必要があります。

とはいえ、マルチモーダルICLは、より直感的で多様なインタラクションを実現する可能性を秘めており、今後の発展が非常に期待される分野です。

実務で役立つインコンテキストラーニング活用例3選

実務レベルで役立つインコンテキストラーニングの活用例を3つ紹介します。

ECサイトのキャッチコピー&商品説明の自動生成

ECサイトでは、多数の商品に対して魅力的な説明文を作成する必要があります。インコンテキストラーニングを活用すれば、以下のような手順で効率化できるでしょう。

  1. 優れたキャッチコピー&商品説明文の例を数点選び、AIに提示
  2. 商品情報(スペック、特徴など)を入力
  3. AIが例示パターンに従った商品説明を自動生成

これにより、ブランドトーンや表現スタイルを統一しながら、大量の商品説明を効率的に作成できます。特に季節商品の入れ替わりなど、短期間で多くの文章を作成する場面で威力を発揮します。

議事録まとめ+To Do 抽出

会議の録音や文字起こしから、重要ポイントとタスクを抽出する作業も自動化できます。

  1. 理想的な議事録まとめとTo Do抽出の例を示す
  2. 会議の文字起こしデータを入力
  3. AIが同じフォーマットで重要ポイントとTo Doを抽出

この方法では、単に会議内容を要約するだけでなく、「誰が」「何を」「いつまでに」するのかといった具体的なアクションアイテムまで抽出できるため、会議の生産性向上に貢献します。

カスタマーサポートのチケット分類

顧客からの問い合わせ(サポートチケット)を適切な部署やカテゴリに振り分ける作業も、インコンテキストラーニングで効率化できます。

  1. 各カテゴリの問い合わせ例と対応の緊急度(緊急・通常・不急など)を示す
  2. 新規の問い合わせ内容を入力
  3. AIが適切なカテゴリを判断し分類

これにより、問い合わせ内容の初期分類が自動化され、対応スピードの向上と担当者の負担軽減につながります。また、「緊急度」や「必要なスキル」などの複数軸での分類も可能です。

インコンテキストラーニング設計のコツ

効果的なインコンテキストラーニングを実現するためには、いくつかのコツがあります。ここでは、3つのステップに分けて解説します。

STEP.1 「何をしたいか」をハッキリ伝えよう

まず最も重要なのは、LLMに「何をしてほしいのか」を明確かつ具体的に指示することです。曖昧な指示では、LLMは意図を正確に理解できず、期待通りの出力を得られません。

この文章をいい感じにして

この顧客向けメールの文章を、より丁寧で共感的な表現に書き換えてください

タスクの内容、目的、期待する出力形式などを具体的に記述しましょう。

STEP.2 例を1つだけ見せて、まずは試してみよう

最初から完璧なFew-Shotプロンプトを作ろうとする必要はありません。まずは、指示文に加えて「入力例」と「期待する出力例」を1つだけ(One-Shot)加えて、LLMに試させてみましょう。

多くの場合、これだけでもZero-Shotより格段に精度が向上します。もし期待通りの出力が得られなくても、その結果を分析することで、指示が足りないのか、例が悪かったのか、改善点が見えてきます。

STEP.3 例を増やして、精度を高めよう

One-ShotでLLMの精度が不十分な場合、例を増やして精度を高めるアプローチが有効です。多くの例を見ることで、LLMはタスクのパターンや期待される出力形式をより深く学習し、精度が向上します。

一般的に2~5個程度の例を追加すると効果が見られますが、単に数を増やすだけでなく、質が高く多様な例を選ぶことが重要です。タスクに合わせて最適な例の数や組み合わせを試行錯誤で見つけましょう。

STEP.4 AIの出力を調整しよう(上級者向け)

One-ShotやFew-Shotで基本的な指示が伝わっても、出力の「質」がもう少し…という場合があります。例えば、もっと創造的な文章が欲しい、あるいは逆にもっと事実に基づいてほしい、といった調整です。

このような場合、LLMのAPIで提供されているパラメータを調整することが有効です。

temperature(温度)
値が高いほど、LLMはより多様で創造的な、時には予想外の単語を選ぶようになります(出力がランダムになる)。低いほど、より決まりきった、予測可能な単語を選ぶようになります(出力が決定論的になる)。クリエイティブな文章生成なら高めに、事実に基づいた要約なら低めに設定します。

top_p (トップP)
LLMは次に来る単語の候補を確率順にリストアップします。Top_pは、その確率の高い候補の中から、累積確率が指定した値 P に達するまでの範囲で単語を選ぶように制限するパラメータです。例えば、$top_p=0.1$なら、確率上位10%の候補の中から次の単語を選びます。これにより、非常に確率の低い不自然な単語の出現を抑制できます。temperature と似ていますが、こちらは選択肢の「幅」を動的に調整します。通常は $1$ (制限なし) または $0.9$ などが使われます。temperaturetop_p はどちらか一方を使うことが推奨される場合が多いです。

max_tokens (最大トークン数)
LLMが生成する応答の最大長(トークン数)を指定します。短すぎる応答しか得られない場合や、逆に長すぎる応答を制限したい場合に調整します。

これらのパラメータは、試行錯誤しながら最適な値を見つけることが重要です。まずはデフォルト値で試し、結果を見ながら少しずつ調整していくのが良いでしょう。

インコンテキストラーニングの注意点

インコンテキストラーニングは非常に便利な手法ですが、利用にあたっては注意点もあります。

例示の品質が重要

インコンテキストラーニングの精度は、プロンプトに含まれる例示(デモンストレーション)の質に大きく依存します。

  • 一貫性
    例示される入力と出力の関係性に一貫性がないと、LLMは混乱してしまいます。
  • 代表性
    実行したいタスクの特徴をよく表している、質の高い例を選ぶ必要があります。
  • 明確さ
    誤解を招くような曖昧な例や、間違いを含んだ例は避けるべきです。

質の低い例を与えると、かえって出力の精度が低下することもあります。例示は慎重に選び、作成しましょう。

画像や動画を含むインコンテキストラーニングの精度はまだ高くない

前述の通り、マルチモーダルなインコンテキストラーニングは発展途上です。特に、複雑な画像の内容を理解したり、長時間の動画の内容を把握したりして、それを例示として効果的に利用する技術は、まだテキストほど成熟していません。

画像や動画を入力や例示に使う場合は、現在の技術レベルで可能な範囲を見極め、過度な期待はしない方が良いでしょう。単純なタスク(例:画像に写っている物体の名前を挙げる)であれば比較的うまくいきますが、高度な解釈や推論が必要なタスクでは、期待通りの結果が得られない可能性があります。

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実践的な内容が学べたり、転職支援が受けられたりと、独学で学ぶよりも効率的です。興味がある方は以下の記事を参考にしてください。

インコンテキストラーニングを使いこなそう!

インコンテキストラーニング(ICL)は、大規模言語モデル(LLM)に追加学習を行うことなく、プロンプト内で例を示すだけで様々なタスクを実行させることができる効果の高い手法です。

LLMが進化し、その応用範囲はますます広がっており、今後マルチモーダル化が進歩すれば、さらに有用になるでしょう。

いくつかの注意点はあるものの、インコンテキストラーニングはLLMのポテンシャルを最大限に引き出し、業務効率化や新たな価値創出を実現するための重要な技術です。今回の内容を参考に、ぜひ活用してみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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